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  • 2025.11.28
  • 投資関連

イーセップ株式会社への新規投資について

京都大学イノベーションキャピタル株式会社(以下「京都iCAP」)(本社:京都市左京区、代表取締役:楠美公)を無限責任組合員とする「イノベーション京都2021投資事業有限責任組合」(以下「KYOTO-iCAP2号ファンド」)は、国立大学の研究成果を活用するスタートアップであるイーセップ株式会社(本社:京都府相楽郡精華町、代表取締役:澤村健一)に対する新規投資を実行いたしました。

今回の投資の概要
イーセップは広島大学をはじめとした大学シーズ技術の社会実装を推進するスタートアップであり、ナノシリカ膜を用いた溶剤分離システムの開発・製造・販売を行っています。

人類に共通の目標であるカーボンニュートラルに向け、CO2等の温室効果ガスの排出削減が求められています。中でも化学産業は全産業のうち2番目にCO2排出量が多く、うち蒸留を含む分離プロセスが化学産業全体の約4割を占めており、この分離プロセスの低炭素化が人類の活動全体の低炭素化に向け大きなインパクトを持ちます。

蒸留プロセスの低炭素化においては主に膜分離への置き換えが主要な選択肢となりますが、酢酸など親水性有機溶媒から水を除去するといった特に環境負荷の高いプロセスにおいては、工業レベルで使用でき、かつ必要性能を満たす膜が存在せず、蒸留からの置き換えが実質的に不可能でした。なお、親水性有機溶媒の市場は非常に大きいため、その工程材料の市場規模も数千億円以上と非常に大きな市場です。

そこでイーセップは、広島大学の都留稔了教授(現:イーセップ技術顧問)の研究成果を基礎に、ナノスケールの細孔径を有するシリカ膜の長寿命化・量産化を実現し、親水性有機溶媒の蒸留プロセスを代替し得る膜分離プロセスを開発しました。このプロセスは、単に環境負荷を低減するのみならず、投資回収期間などの観点で経済的にも優れるシステムであり、大手化学企業での導入が進んでいます。

イーセップは今般の資金調達による自動生産設備の導入により商用第1号顧客への規模感ある製造・販売を実現するとともに、当該実績を梃子に日本のみならず世界への拡販を進める計画です。また、イーセップのナノシリカ膜を用いることにより、水素原料としての側面もあるメタノールを既存手法比で大幅に低コスト生産出来るシステムも開発しつつあり、この開発ならびに社会実装も進めていきます。

京都iCAPは、イーセップの製品が気候変動の抑制に向けた現実解として大きく貢献することを期待し、マネーフォワードベンチャーパートナーズ、日本特殊陶業株式会社のCVCなどと協調し、総額約5.5億円の第三者割当増資のうち約1億円の投資を行いました。

イーセップ株式会社 概要
設立   :2013年10月
事業内容 :ナノシリカ膜を中心とする分離プロセスの開発・製造・販売
本社所在地:京都府相楽郡精華町
代表取締役:澤村 健一(さわむら けんいち)
HP   :https://esep.kyoto/

京都大学イノベーションキャピタル株式会社(京都iCAP)について
京都iCAPは、京都大学 100%出資子会社として、京都大学を中心とした国立大学から生まれた研究成果を活用する企業を対象に投資やその他の事業支援を行っております。当社は現在、総額160億円のイノベーション京都2016投資事業有限責任組合(以下「KYOTO-iCAP1号ファンド」)(2016年1月設立)と総額181億円のKYOTO-iCAP2号ファンド(2021年1月設立)を運営しています。KYOTO-iCAP 1号ファンドの満期は最長20年、KYOTO-iCAP 2号ファンドの満期は最長17年に設定しており、基礎研究に強みを持つ京都大学の研究成果の実用化を長期にわたって支援することが可能となっています。また、KYOTO-iCAP 2号ファンドでは、一部資金を京都大学以外の国立大学発ベンチャーに投資することとしています。

【お問い合わせ先】
京都大学イノベーションキャピタル株式会社
〒606-8317 京都市左京区吉田本町36番地1
事業企画部長(広報担当) 河野修己
TEL:075-753-7588  FAX:075-753-7592
E-mail:info@kyoto-unicap.co.jp

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