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  • 2020.1.31
  • 投資関連

京都フュージョニアリング株式会社への投資について

京都大学イノベーションキャピタル株式会社(以下「京都iCAP」)(本社:京都市左京区、代表取締役:室田 浩司)を無限責任組合員とするイノベーション京都2016投資事業有限責任組合(以下「KYOTO-iCAP1号ファンド」)は、京都大学の研究成果を活用するベンチャー企業である京都フュージョニアリング株式会社(以下「KF社」)(本社:京都府宇治市、代表取締役:長尾昂)に対する投資を実行いたしました。

○今回の投資の概要
KF社は、京都大学エネルギー理工学研究所の小西哲之教授が中心となり設立された、核融合に関する技術開発とエネルギー平和利用を目的としたエンジニアリング企業です。
クリーンで持続的なエネルギーを生み出す核融合(※1)炉は「地上の太陽」とも呼ばれ、原子力発電の代替候補として世界をリードする研究開発が本邦にて進められてきました。現在、2025年の稼働を目指し、日本も参加する7極の国際共同プロジェクトにて「熱核融合実験炉(ITER)」の建設が進められ、核融合炉からのエネルギーの取り出しが現実味を帯びてきています。同時に米・英・加などの各国では、より早期の核融合炉による発電の実現を目的としたベンチャー企業が既に複数設立され、2020年代のエネルギー実証に向けた装置の開発、建設も加速しています。

京都大学エネルギー理工学研究所は1914年(大正3年)に京都帝国大学工学部に設置された中央実験所にルーツを持ち、核融合エネルギーの平和利用を目指した実用化に向けた研究を重ねてきました。小西哲之教授は、核融合エネルギーの変換と利用、燃料となる三重水素のハンドリング、中性子源の利用、熱工学に関する研究を専門としており、核融合炉の主要構成部品であるブランケットならびにダイバータ(※2)の設計製作ノウハウを有します。KF社では、これら研究成果を活用し、欧米の大学関連企業や国際共同で建設が進められている核融合炉プロジェクトに対してブランケット、ダイバータなどの主要機器やプラント設計を供給するエンジニアリング企業となることで、世界のエネルギー環境問題の根本的な解決に貢献します。核融合エネルギーは、今後爆発的に増加する途上国のエネルギー需要に応えつつ、高レベル放射性廃棄物の発生なしに、パリ協定の求める温室効果ガス削減に対応しうる技術として、近い将来に大きく成長する可能性を持つ市場であり、KF社はその市場を拓くパイオニアとして設立されています。

KF社は、京都iCAPが設立・運営している起業家のための組織である「Entrepreneur Candidate Club」(ECC-iCAP)の会員から経営チームが誕生した4件目の事例です。核融合炉の平和利用に関心を持つECC-iCAPの会員と小西教授ら研究者が事業化の議論を重ね、共同での創業に至りました。わが国初の核融合技術に関する起業であるとともに、世界でも類例のほとんどない核融合技術専門のエンジニアリング会社として、社会の持続的な発展に貢献します。

京都iCAPは、創業者らとともに設立投資ならびに第三者割当増資を引き受ける投資契約をKF社と締結し、総額7,530万円の投資を実行しました。また、投資と同時に社外取締役1名を派遣し、経営全般への支援も行います。

※1:核融合とは
文部科学省HPから抜粋;https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/iter/019.htm

(1)核融合反応とは
核融合反応は、太陽が光輝きエネルギーを発生している原理であり、世界の科学技術を結集して取り組んでいる核融合研究は、「地上に太陽をつくる」研究とも例えられます。核融合反応では、少量の燃料から膨大なエネルギーが発生し、例えば、1グラムの重水素−三重水素燃料からタンクローリー1台分の石油(約8トン)に相当するエネルギーを得ることができます。

(2)核融合エネルギーの特徴
豊富な資源:燃料となる重水素と三重水素を生成する原料となるリチウムは海中に豊富に存在するため、地域的な偏在がなく、資源の枯渇の恐れがない。少量の燃料から膨大なエネルギーを取り出すことができる。
固有の安全性:核融合反応は暴走せず、核分裂と比べて安全対策が比較的容易である。
高い環境保全性:発電の過程において、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を発生しない。高レベル放射性廃棄物が発生しない。

※2:ブランケットとダイバータ―
ブランケット:核融合で生じた熱を炉外に取出し、燃料となる三重水素を生産する装置
ダイバータ:核融合で生じたヘリウムガスを炉内から取り出す装置

京都フュージョニアリング株式会社 概要

設立 2019年10月
事業内容 核融合炉関連技術、装置の研究開発
本社所在地 京都府宇治市
代表取締役 長尾 昂 (ながお たか)

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